重症熱性血小板減少症候群
最近ニュースなどで話題となっているマダニ媒介性のウイルス感染症についていくつかお問い合わせがありましたので現時点でわかっている事を少しまとめてみました。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について
A1 マダニが媒介する新しいウイルス感染症で、ヒトにおいて発熱、嘔吐、下痢などの症状が見られる。また血液検査では血小板減少症や白血球減少、肝酵素値の上昇などが見られる。
Q2 SFTSの原因ウイルスは?
A2 ブニヤウイルス科フレボウイルス属 SFTSウイルスです。酸や熱に弱く消毒用アルコールなどの一般的な消毒剤で消毒可能です。
A3 マダニが媒介する感染症であり中国においてはフタトゲチマダニが主な媒介者であるとされているがオウシマダニからもウイルスが検出されていることからその他マダニも媒介者になる可能性がある。一方、蚊による媒介は否定されている。
A4 ヒトにおいて、発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)、頭痛、筋肉痛、神経症状(意識障害、けいれん、昏睡)、リンパ節腫脹、呼吸器症状(咳、咽頭痛)、出血症状(紫斑、下血)等の症状が認められる。致死率は高くおよそ12%とされている。
A5 マダニにかまれてから6日~14日程度と考えられている。
A6 国内においては広島、山口、愛媛、長崎、宮崎、佐賀、高地でSFTS症例が確認されているが、SFTSウイルスを媒介するマダニは日本全国に分布している事からこれら以外の地域でも発生している可能性がある。
海外においては中国で確認されている。またアメリカのミズーリ州においても近縁のウイルスによる症例が報告されている。
A7 中国の流行地における調査では、健常者の0.8~3.8%から抗SFTS抗体が検出されている。国内では調査報告が無く不明。
A8 はい。中国での発生はマダニの発生する季節に一致し3~11月に発生し5~7月がピークです。
A9 中国における調査で山羊、牛、羊、豚、鶏、犬より抗体が検出されています。国内では不明。
A10 国内外において報告はなく、現時点においてはヒトのみの病気であると考えられる。
A11 マダニの寄生を予防することが重要です。犬や猫への寄生を防ぐことで感染リスクを低減できます。